レモ二ー・スニケットの世にも不幸せな物語        Lemony Snicket's A Series of Unfortunate Events

2005年5月3日発行 編集・発行=アスミック・エース 松竹株式会社事業部

 

 パンフレットを求めるのは、ストーリーを読み、キャストやスタッフの名前を確認したいからか、といえば、必ずしもそんなことはない。
 たった1枚の写真が載っていることが決定的な理由になることもある。『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』のパンフレットについては、まさにそうだった。
 その写真は、不幸せを背負って立つ、ボードレール家の3人のきょうだいが並んで手をつないで歩いている姿を全身で正面から撮ったもの(表紙もそうなのだが)。ヴァイオレット=14歳、発明の天才。クラウス=12歳、本で読んだことはすべて覚えている。サニー=噛むことと人を見抜くことが得意な、まだ喋れない幼い妹。この3人の服が素敵で、映画を観ているときもずっと、もっとちゃんと見たい!と思っていたのだ。
 3人は火事に巻き込まれても、旅に出るときも、海に飛び込みそうになるときも、いつも同じクラシックな服装をしている。ヴァイオレットは足首までスカートがたっぷりと長い青いワンピースで、ふくらんだ大きな半袖に見えるが、実は腕の部分は編み目のぴったりとした袖で覆われている。とても手の込んだ布地とデザインの服の上には空色のウールのコートを着る。プリンセスラインのコートについたくるみボタンはウエストまでで12個。足元は黒いサンダルのようなブーツ。クラウスは紺の丸首のセーターから白いシャツの襟をのぞかせ、カーキ色のスラックス。その上から紺のジャケットを着る。茶色の革靴。サニーはピンクとグリーンが大きな縞になった長いワンピースの上からとても細やかな刺繍入りの水色のフード付きマントを着ていて、その裏地やリボンはピンク。(衣装デザインの人の名前はほとんど知らないが、コリーン・アトウッドという名前は、これで覚えた。)
 パンフレット全体ではレタリングが凝っていて、ページを表す数字にも楽しい工夫がされている。内容や読みやすいかどうかは、この際、置いておくことにして、ひとつだけ。映画のタイトルの元の英語を知りたいと隅から隅まで探したつもりだが見つからなかった。原作になっている児童書の翻訳者による紹介文もあるのに、そこでも触れられていない。外国の映画の場合は原題は非常に大切で、この文にも必ず付記することにしている。今回はインターネットで調べなくてはならなかった。
 ところで姉弟が持って歩くトランクも、革バンドを回して閉めるクラシックなもので、とても美しい。