98字日記ー2022年7月

7月31日(日)
『HELENE』が原題。映画『魂のまなざし』をみに行く。フィンランドの画家ヘレン・シャルフベックは2015年に藝大美術館で作品をみて以来、ずっと気にかかっていた。どうしてあの自画像を描いたのか知りたいと・・・

7月30日(土)
がんばった数日だったので、今日は部屋に冷房を効かせて過ごす。食べる物がいつも溢れるほどある状況をありがたく思う。ただ今朝はアボカドを剥き始めてから完熟していないと発見。カッテージチーズ+山葵+醤油で。

7月29日(金)

『ジャン・プルーヴェ展』(都現美)へ、来日中の道子ちゃん、ヒューゴくん、ケンゾーくんに美礼と。構築する、という言葉がぴたりと当てはまる家、椅子、机は触りたくなる。二人の男の子の心にどう留まっただろう。

7月28日(木)
あっという間に7月が過ぎ去って8月を目の前にしている。お盆休みとか「山の日」とか入っているカルチャーのスケジュールを私は思い違いしていて、クラスで教えてもらう。「海の日」はいつ過ぎたの? とにかく夏休み!

7月27日(水)
『チャトウィンの足跡』は結局一度しか見に行かれなかったけれど、本人が出ている訳ではなかったので、まあいいか、という思い。それよりシャルフベックの映画を見たいのに、渋谷の街へのアクセスに気が重い。

7月26日(火)
C. F. ラミュ『詩人の訪れ』を読み始める。笠間直穂子訳。小説の形をした詩、といっていい作品。なおちゃんの訳が素晴らい。スイス・ロマンド語を訳し、しかも日本語がこよなく美しい、日本で唯一の存在に違いない。

7月25日(月)
小川鼎三という名前から夫人の文代(1902-1993)を知り、ネットで経歴を辿る。1928年に結婚、3人の子どもを育てながらミミズの神経系統に関する研究を続け、1938年、東北帝大で生物学の分野で女性初の博士号を得た。

7月24日(日)
勝どきで本の打ち合わせがあり、公子さん達と四人で月島のモンジャへ。水曜クラスの人達と行って以来で、コロナ禍の下で過ごしている日々、というか期間の長さを思う。明るいうちに店を出ると人通りはほとんどない。

7月23日(土)
あれから50年。50年・・私はもうこの世にいなくなっていいと思う。今日から1日1日、そのつもりで過ごそうと思う。MとGさんとG さんのお母様と4人で新宿・柿傳で夕食。お酒もいれると、ちょうど50種類の美味を愉しむ。

7月22日(金)
パーマをかけた。30年以上したことがなかったのに。40年前の何かの表彰式の写真で肩くらいまでのソバージュなのが最後だったかもしれない。なぜ、かけたか理由はない。気分の問題。

7月21日(木)
バス停の行列で、後ろの女性から「おしゃれですね」と言われた。いつも同じジャケットと腕時計のスヌーピーの絵の面とベルトが揃って水色だから? 「私の時計は家のどこかにあるんだけれど見つからなくて」と言う

7月20日(水)
全国の新型コロナ感染者数がまた急増、今日だけで全国で15万人以上、東京も2万人以上という。郵便局に行くと、局員の数が足りないので時間のかかるものは後日にしてほしいと貼紙がある。学校は夏休みに入るけれど・・

7月19日(火)
トリフォニーホールで5月にあった新日フィルによる新実徳英作曲『風神・雷神』がYouTubeに載ったと美南子さんから教えられて聴く。オルガンと和太鼓が加わり・・これは絶対に会場で聴きたかった!なぜキャッチできなかったの!

7月18日(月)
20年前に、この日記100日分を内澤旬子さんが素敵な装丁でまとめてくれたものを手にとる。昔の子供用浴衣地で表紙を貼り、折り畳み式のかっちりとしたケースに包まれている。書かれている日々は今とほぼ変わらない。

7月17日(日)
朝はマフィンとブルーチーズなのに、好きなデンマークのキャステロダナブルーが近所のマルエツから消えた。カルディで英のスチルトン、仏のイルドフランスを試してみたけれど、穏やかすぎ。ゴルゴンゾーラを探そう。

7月16日(土)
マイ・ブームはグリーン・ダ・カ・ラのミルコア。セールで4本300円の430ml ボトルを冷蔵庫に入れておき、一気に飲むのではなくて喉がチリッとした夜中や塩分取りすぎの時に3口くらい飲む。疲れたと思った時も。

7月15日(金)

何がきっかけだったのか、ふと、この2年ほど胸を抑えつけていたものが外れた。いい加減、気が付いたら、という自分の声が聞こえたのかもしれない。ぐらぐら揺れる私の気持ちを受けとめては応じてくれた四人に感謝!

7月14日(木)
大雨は久しぶり。乗り換えて最後のバスを降りると土砂降りだった。3時間続けての授業の疲れはなく、傘にあたる雨音が心地よい。足元が一気に水溜りになっていくなか、家にたどり着くまでなので、じゃぶじゃぶと歩く。

7月13日(水)
床に落ちた物を拾うのが苦手。家の中では何処かに片手をかけて拾えるけれど、外では難しい。メトロの中で紙が1枚ふわっと飛んで若い男性が、杖がパタッと倒れて中年の女性が、拾ってくださってありがとうございます!

7月12日(火)
昨夜、久しぶりに明るい月を見た。満月になるのを躊躇っているように端がぼやけていた。同じ窓から見る空が今日は曇り。メールを数本、手紙を4本書く。明日と明後日のための添削がまだ全然終わっていないのに。

7月11日(月)
唯々諾々と社会の規則や常識に従うのが望ましいとは思わない。個々人の自由や感性が豊かに解き放たれる世の中であってほしい。それにしても・・背後からの銃撃、有権者のほぼ半分が棄権という現状は辛い、悲しい。

7月10日(日)
栃ノ心、名古屋場所の初日に1勝。参議院選挙で、山添拓が、蓮舫が、比例区で辻元清美が、当確。与党と野党がもっと拮抗しなくては。軍事より人や文化にお金を!大谷翔平が大リーグのオールスター戦に出場決定。

7月9日(土)
新型コロナウイルスワクチンの4回目をタワーホール船堀で受ける。3回目と同じファイザー。少しおさまってきた新規感染者の数が、このところまた増えてきて東京で日々1万人近い。私の行動には変わりないものの。

7月8日(金)
警護の手落ち、と思った。今日、安倍元首相が遊説中に銃撃された。話す人の背後に気を配るのは、イベントに携わる者の基本。力に力で対応するのではなく、危害を招く状況を作らないように。と言っても暴力は恐ろしい。

7月7日(木)
新宿での今期第一日目で、新規受講者が一人いて、見学の社員が二人いて、『エヴァンズ』の冒頭は難解なのでこまかい説明をして、授業後は動物園協会から私の退任に対してロビーに二人ご挨拶にみえて・・楽しかった‼︎

7月6日(水)
プレスリーの Love Me Tender が映画の中では使われなくて残念。CDで聴こう。この頃ひとりで小さくうたうのは原曲の方の Aura Lee。高野文子ヴァージョンの「泉のなかに 誰がいるの オーラリー オーラリー どこですか」。

7月5日(火)
午前中は映画館で『エルヴィス』。チャトウィンの時と同じく語り手のイメージの方が強い感じだけれど、これはこれで。プレスリーが私のヒーローであることに変わりはない。理屈なしにピュアで魂にぶつかってくる。

7月4日(月)
友人達に病気が多い。ほぼ寝たきりになった人、手術後の後遺症から退院できないでいる人、日帰り診察のつもりが突然の入院になった人・・健康第一なんてつまらないことは言わない。病気でも楽しくしていてほしい。

7月3日(日)
作品集『The World of Donald Evans 』を、4年ほど前、買っておいてよかった。今日はじめて、解説をゆっくりと読む。想像上で国を創り、山河、人々、気候、果実、鳥、魚と全てを考えて切手を描いた夭折の画家。

7月2日(土)
参院選の期日前投票を済ませる。投票日の前日がワクチン接種なので、熱が出る可能性もあるため。私が行った時は、他に二人しかいず、コロナウィルスが拡散される心配もない、静かで明るい部屋で投票をおえられた。

7月1日(金)

「十九世紀 チャイコフスキイが旅してたとき/一人の左官屋の口ずさむ民謡にうっとり/やにわにその場で採譜した/アンダンテ・カンタービレの原曲を/口ずさんでいたロシヤの左官屋/彼はどんななりしていたのだろう」(茨木のり子『二人の左官屋』から)