98字日記ー2022年1月

1月31日(月)
母の誕生日に淡紅と淡紫のスイートピーを大きな花器に盛る。でも死んじゃった人にはそんなこと分からない。岩波でシェンゲラヤの『ピロスマニ』と『ドキュメンタリー』、パラジャーノフの『アラベスク』をみる。

1月30日(日)
物を捨てることを勧める風潮が、ずっと気に入らなかった。年寄りの仕事の一つが身の回りの整理であるらしいのも余計なお世話。私はいつもガラクタに囲まれていたい。五木寛之著『捨てない生きかた』が気になる。

1月29日(土)
横浜でクラスの人達とゆっくり話したいと思いながら、越境の身ゆえに遠慮して帰途につき、銀座SIX の蔦屋に「三島喜美代展」をみに寄る。売りに出ている小品の実物を見たくもあった。新聞のオブジェで惹かれる。

1月28日(金)
岩波ホールのHPで、ジョージア映画祭前売り券を今日までローソンで買えることを昨夜知った。情報はしっかり集めよう。それで今日はローソン、郵便局、銀行、美容院、勝どきと歩き回る。36.4度の平熱を信頼して。

1月27日(木)
夜10時過ぎに強烈に眠くなり、ベッドに入ると5秒で暖かくなる布団の中でぐっすり眠り、1時頃に目が覚め、うとうとと音楽を聴きながら3時半に届く新聞を読み、それから又少し眠る。そのサイクルを変えたく12時に寝る。

1月26日(水)
昨日の新規感染者数が東京だけでも過去最高の8500人を超えたからか、駅や交通機関に人が少ない。そして今日は12800人。心惹かれる展覧会や映画がちょうど始まりだしたのに。マスクを買い足さなくてはならない。

1月25日(火)
翻訳の課題にパフジャケットが出てきた。十代の私はパフスリーブのワンピースが欲しかったと思い出す。全て母か姉の手作りなので、最少の生地から、ふわっと膨らんだ袖分をとってもらうのは至難の技だった。

1月24日(月)
訪れた幾つかの土地の中でも、きらきらと輝くような黄葉に包まれたキエフは最高に美しかった。米・英の情報では、そのウクライナにロシアが侵攻する気配があるという。どうして穏やかな日々が保たれないのか。

1月23日(日)
日曜の午前中の銀座は閑散としていた。和光のウインドウに並ぶのは二次元コードで、スマホをかざす人が多く、もう一方では大きな銀色のライオンが吠えている。教文館で本を買って勝どきへ。栃ノ心は負けた。

1月22日(土)
明日決まることを、今日、書いておく。栃ノ心、がんばれ。満身創痍のため7場所の負け越しが、今日は7勝7敗。岸本洋平、がんばれ。名護市長選挙。人となりは知らないけれど、市民として辺野古は認めたくない。

1月21日(金)
俳句は読んで楽しむことしかできないが、朝日俳壇の選者から稲畑汀子さんが退くのは寂しい。91歳になられ、バトル相手の金子兜太さんなく、致し方ない時の流れなのだろう。後任者が誰になるのか興味深くもあり。

1月20日(木)
高野文子の新刊『うたのほん』がMから届いた。少部数出版レーベルから、がいい。プレスリーのLove Me Tender の原曲「オーラ・リー」も。泉のなかに誰がいるの 耳を澄ませば声がする オーラリー 水の精たち姿見せて・・

1月19日(水)
昨日の朝刊記事「ネット恐竜教室」を幾度も読む。小児がんの加瀬武虎くんの希望がきっかけで千葉の病院と上野の科博がインターネットで結ばれ、恐竜教室が開かれたこと。その後、武虎くんは亡くなった。9歳。

1月18日(火)
コロナ禍を心配する役員さん達の細やかな工夫の下、シティコープでのシニアの会。席は教室風に並び、手製のお菓子をいただき、ビンゴに上がった人から賞品を受け取って帰る。私は90歳の白井さんと、つい話し込む。

1月17日(月)
『きんいろのしか』が4月に復刊! 東京こども図書館と福音館との共同企画で8冊復刊されるうちの1冊と復刊ドットコムからメールで知らされた。何年越しかのアピールで、あの秋野不矩+石井桃子の世界が生き返る!

1月16日(日)
玉葱、じゃがいも、人参、椎茸に大きな塊にきったキャベツを押し込むように入れてスープにする。94円均一で届けられた新鮮そのものの野菜たちで、キャベツは半分しか使いきれない。最高に美味しい400円の一皿。

1月15日(土)
須賀敦子のクロスワードパズルが好きな話は、この数日、手にしている『霧の・・・』にあった。数十年続けている伊語版の、黒マスがほとんどない空白ばかりの超難解なのが好きとのこと。私もそうです、英語版で。

1月14日(金)
昨年暮れから広げていたジグソーパズル『Alice’s Wonderland』が完成! 図柄も色 (B.Ryder)も心を沸き立たせるもので、解説文( R.Snider)も素敵。パズルは感性を刺激し達成感を与える芸術のひとつだと思う。

1月13日(木)
須賀敦子の『霧のむこうに住みたい』を、もう幾度目か、読む。このところ遠くに出かけていないと鋭く思う。京急に乗っている時、到着時間を知らせるアナウンスに、1時間こうしていれば久里浜に着くといつも思う。

1月12日(水)
上野のシャオシャオとレイレイが今日から一般公開されたのに、またコロナ感染者数が急激に増えて、明日と明後日だけとなった。動物園自体は11日からすでに「当分の間、臨時休園」となっている。いつまで・・・

1月11日(火)
岩波ホールが7月末に閉館という、ホームページでの正式な告知によるショックなニュース。コロナ禍による経営悪化のためというが、本当に? 高野悦子さん亡き後、寂しくなった。今月末からのジョージア映画祭が貴重に。

1月10日(月・休)
昨夜、のり子さんと電話で1時間、今日は公子さんと駅前のコーヒーショップで2時間近く話して、話すことでもたらされる実の豊かさを実感する。この数日の久子さんや早苗さんとの話でも私は生かされているのを感じた。

1月9日(日)
『20世紀ジョージア短編集』を幾つか読む。児島康広先生の訳は安心してその世界に没頭させてくれる。ギオルギ・レオニゼの「希望の樹」は映画化されたのを見たし、来月もう一度見るつもりで、詩のように読む。

1月8日(土)
テレビが壊れた。TV大好きを脱却してラジオだけにするいい機会かも知れない。いつからか、音がないと寂しくて。かといってラジオの音楽番組に多い、人の会話は煩い。リスナーに話しかけるかモノローグがいい。

1月7日(金)
あの写真集『Stuttgart 』を展示会と共に売り出す写真集専門店「ブック・オブスキュラ」を笠井久子さんに教えてもらう。井の頭公園を抜ける昔のわが散歩道にあるらしく、十代に好きだったブラウスを思い出した。

1月6日(木)
雪! 11時半に家を出たとき降り始め、3時に講座を終えてビルを出ると3cmほど積もっていた。船堀駅前でタクシーに乗り、敷地内を200米ほど新雪を踏む。心地よかった。夕刻、窓外の雪にイルミネーションが綺麗。

1月5日(水)
まだ松の内、ということか街の中も駅もガランと人がいなかった。それだけ空気もきれいなのか、横浜に向かう車窓から見えた富士山の清々しいことといったら! 課題のテーマは「月」で月も浮かびそうな青空だった。

1月4日(火)
コロナ感染者数が、じわっと増えてきた。私も人と会うことが多くなっていて、虎らしく要注意。虎年ではなく寅年と書くべきだけれど、私は虎でいい。明日から翻訳塾もスタート、元気な顔が見られますように。

1月3日(月)
福岡から到来のフレッシュな明太子と白粥の朝食で普段の生活に戻り、一日、家の中でくつろぐ。手元にある画集のいくつかの頁を繰る。デュフィ、モランディ、其一。ピナ・バウシュ・ヴッパタールのプログラム。

1月2日(土)
娘の嫁ぎ先のお宅に、招ばれるからといって母親が新年初めてのご家族の集まりに伺うって・・といつも思いながら嬉しく奥沢に出かける。夜はゆりかさんとゲームの話で1時間、萬里さんと食事の話で1時間、電話で。

1月1日(土)
賀状の虎のオンパレードが楽しい、嬉しい我が年。7回、重ねてきたのだ。2年ぶりに吉祥寺の家に集まり、母伝来のおせち料理。お吸い物に浮かべてくれた練り物も虎の意匠。こうなれば、きっぱりと虎でいるしかない。