98字日記ー2021年9月

9月30日(木)
今月5週目の木曜で休み。台風の前の静けさの中、果物や冷凍食品類、ヨーグルトなどを届けてもらう。最近システムが変わってマルエツでの選択の幅が極端に狭くなってしまったものの、生きていく上で支障はない。

9月29日(水)
歌を口ずさむことなど絶えて久しくなかったと思う私が小声で歌っていた。楽しいことがあったわけでもなく、なぜか分からない。そういう時、私は何を歌うのか。I was waltzing with my darling to the Tennessee Waltz・・

9月28日(火)
朝、起きるとすぐコーヒーを飲みたい。でも身体が不調な時は絶対に日本茶。上品にではなくマグカップで日本茶。午後は紅茶もいい。一時はあんなに好きだった台湾茶を飲んでいない。阿里山の烏龍茶を買おう。

9月27日(月)
家に何日ぼーっとしていても退屈しない。翻訳の添削という、対話をしているような仕事があるおかげもあるし、一人遊びは山程知っている。ただBのような張り合う人、腹の立つ人がいなくなったことは、とても儚い。

9月26日(日)
『きみが死んだあとで』の映画解説冊子を深く読む。1967年に機動隊との激突の中で死んだ京大生を巡るドキュメンタリー。60年安保を闘った私たちは38年、京大生山崎博昭さんは48年、代島治彦監督は58年の生まれ。

9月25日(土)
Mの2週間自粛が今夕で終わり。どこかの企業がせめて10日に、と要請したようだけれど、理不尽なことは多々ある。とにかく感染させず、せず、ということが一番。なんて、いつの間にかすっかり行儀良くなった私。

9月24日(金)
ミュージカル『オペラ座の怪人』25周年記念公演 in London in 2011 をTVでみる。幕が降りた後、初演でクリスティーヌ役だったサラ・ブライトマンが歴代の怪人たちと歌う。こういう豪華さが世界中で消えている今。

9月23日(木)
休日なのね、とバスに乗ってから思った。お彼岸ですものね。人出の多い所もあるだろうけれど、私の行き先はがらがら。出席も新宿Aクラス1人、Bクラス3人という少なさ。でも全く寂しくない。特化した話ができる。

9月22日(水)
外でマスクなしの人を見ない。家からバス停まで樹木に挟まれた小径を歩いていても、たまにすれ違う人はマスク顔。いつ、この光景を思い返す時が来るのだろう。私も韓国製の立体的なマスクを貰って付けている。

9月21日(火)
50年!  今年、笠井叡さんの『天使館』が設立50周年とのこと。11月の笠井爾示写真展には必ず行こう。今日、幹子さんからヤマナシヘムスロイド50周年記念展の案内をいただく。来年は多分、のり子さんのパテ屋50周年。

9月20日(月・休)
朝、排水管の掃除のための掃除をして、くたびれたことに気付かず、今日こそと勝どきで帰国後籠城中のMに差し入れに。でも今半の出来立てのお弁当を買うだけで重さにダウン。パソコンを持ったせい。情けない。

9月19日(日)
いつも特別な空間に入りこむ「舞踏」。今日はむしろ濃密な時間に包まれた。笠井瑞丈さん監修のもと、叡さんと禮示さんも踊り、久子さんが自作の詩をよむという『霧の彼方へ』。神楽坂のセッションハウスで。

9月18日(土)
東京も台風14号の警戒地区になり、交通機関が止まらないうちに、いつもより1時間早く横浜に着いてルミネの5階でマロンのミルクレープとアールグレイ。ブラッドベリーの仕上げに面白い解釈がクラスで色々聞けた。

9月17日(金)
つがわ歯科で歯をみてもらった後、やっと、銀座シックスに名和晃平のインスタレーションを見に行く。いつもの吹き抜け空間に白い犬と島々の『変容の庭』。蔦屋に寄ったら奈良美智のいい作品に値札がついていた。

9月16日(木)
20代かしら、中学生のとき親友だった男女が時空間とも離れたままTVの番組内で互いの消息を知り合う。本当は好きだったんじゃないの、という周りのひやかしに女の子が言った。ずっと恋人以上の大事な友達です。

9月15日(水)
マレーシアのマハティール元首相は、心から納得できる考え方を今も述べてくれる。20年前の9・11同時多発テロをイスラム教徒として非難しつつ、アフガニスタンという国全体を攻撃した米国を批判する。今、96歳。

9月14日(火)
私には家に関わる能力がないので30数年前に都の住宅供給公社を住処とした。判断は正しく、約400戸の中の知恵と優しさが各分野で発揮され、長期計画の下に維持されている。で、秋は配管関係の修理や清掃・・・

9月13日(月)
先週TVで聴きそこなったパヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラスの三人がそろって歌うのを2曲聴けた。最高だと思いつつ、昨日の深夜にふと知った「おげんさんといっしょ」で歌っていた、あれは誰か、とても知りたい。

9月12日(日)
世界の中でまったく行かなかったり、行っても日帰りだったり、という所で心底行きたかったなあと思うのは、東欧の国々、アイルランド、米・ニューイングランド、南米など。そして行く予定なくジョージア語を学ぶ。

9月11日(土)
ミラノでの取材からMが帰ってきて、ほっとする。コロナについてはひっきりなしの証明書の提出と検査をパスして、これから2週間の待機とのこと。全ての立場で注意を重ねて物事が動くのはいいと思う。停滞だけでなく。

9月10日(金)
昨日、体調が不安で模範的な時間割に戻る。10時前に寝て、4時半に起きる。5時からの江口玲のピアノソロ「アメリカに心を寄せて」を聴けた。ホフマンの「ノクターン」はじめアレンジが最高の曲を次々と。快復。

9月9日(木)
東京都心で低温がこんなに続くのは87年ぶりだそう。心地よさが寒さに変わって、しかも暑さも残っているから歩くと汗ばみ、身体がシャキッとしない。それでも新宿で90分のクラスを二つ終えると元気をもらえる。

9月8日(水)
どこかのTV局で松岡修造さんが数人の外国のパラリンピック選手達にインタビューしていた。もっと、してほしかったこと。いずれのメディアも日本選手の金メダルの数ばかり称えていた。ホスト国としてはしたなくも。

9月7日(火)
物忘れが多い。昨日、パヴァロッティの映画を2本、家でみられるのを楽しみに美容院の帰りに寄り道をせず、途中で「でからあげクン」を買った。それが嬉しくて今朝までパヴァロッティは忘れていた!なんたること。

9月6日(月)
スーパーで、スマホでQRコードにアクセスする買い方を勧められる。一方、重い品物を持てなくてデパートの高級品を届けさせる人もいると、美容院で聞いた。方法はいろいろあるのに・・私はいい気になってすぐ試す。

9月5日(日)
大谷翔平が43号ホームラン! 昨日勝利投手で! MLB で100年ぶりという数字を重ねているところなのに日本のメディアでは追えなくて、アメリカの実況放送で聴く。Wao! Shohei Ohtani! You know what・・Incredible!

9月4日(土)
『ボルベール』の魅力は何? 古典のギリシャ悲劇さながらのストーリーが現代の日常に実にうまく溶け込んでいる。ひとの死や愛がどれも激しく唯一無二ながら、平凡な日々の一部に過ぎなくもある。美しく生きよう。

9月3日(金)
ベネチア映画祭でペドロ・アルモドバル監督の新作がもう注目されているからか、あの『ボルベール』がTVで放映されて午後を過ごす。前とは別の箇所に惹かれたりして、「後悔のない人生なんてないよ」をしみじみと。

9月2日(木)
急に10月末の涼しさ。暑さに弱い身としては心地よい。きっとパラリンピックの選手たち、場をつくっている人たちにとっても。でも今、夜10時近くに雨の中、競技場で懸命に走り、跳ぶのをTVでみても楽しくはない・・

9月1日(水)
「ある言葉に一連の記憶が池の藻のようにからまりついていて・・・その言葉が目にとまったり耳に触れたりした瞬間に・・・そのころ考えたことなどがどっと心に戻ってくることがある。私の場合、それが外国の言葉、とくに動詞であることが多い・・・」(須賀敦子『星と地球のあいだで』から抜粋)