98字日記ー2021年8月

8月31日(火)
未明にボストンのフィリスさんからプードルの写真と共にメール。名前のAurora は Ashok さんのA に彼が好きだった to  study the heavens から付けたという。2年経って辛さが”raw” ではなくなったけれど、まだ・・と。

8月30日(月)
102歳まで元気だった父が、生前よく言っていたと知子さんが教えてくれた。「じっとしているだけでは生きていることにならない」。なるほど。昨夜ぐっすり眠ったのは、昼に日本橋まで買い物に行ったからに違いない。

8月29日(日)
課題がらみでエドナ・セント・ヴィンセント・ミレイの長い詩「Renascence」をオンラインで読んだ。1912年作で200行もある。各行が韻を踏んでいて、声を出して読むとリズムが心地よかった。古典の良さ。

8月28日(土)
パルスオキシメーターを原理から考えて発明した青柳卓雄博士について今朝の天人で読む。この人こそノーベル賞! 酸素濃度を測るメーターと、ハートを抱く小さなキューピー付きの体温計ーー二つの銀色が私の朝。

8月27日(金)
パラリンピック開会中。片や東京だけでも毎日4千人以上の新規コロナ感染者がいて入院すらできない。気持ちの折り合いがつかない。個々のアスリートは応援する。超激しい車椅子ラグビーが男女混合とは知らなかった。

8月26日(木)
米女性作家セアラ・オーン・ジュエット(1849-1909)をこれまで知らなかったのは私の勉強不足。とはいえ邦訳が出ていず、河島弘美訳で六短編が岩波文庫から出たのが2019年だったとは、英米文学者達はどこに?

8月25日(水)
5年ぶりのメールによると、この2年、言語聴覚士の養成校に通い、卒業し、国家試験に合格して、それを生かす職場で働きはじめたという。この時期に何というジャンプ!胸に溢れる言葉が多すぎて私の返信はこれから。

8月24日(火)
明日、明後日に20人以上に翻訳を添削して返すのに、気がつくと半分しか終わっていない。不安が不安を生むこのコロナ禍騒動は思考力を削ぐみたい。添削中も横道に逸れがちで、世界地図を1時間も眺めていたりする。

8月23日(月)
山崎豊子原作『大地の子』のTVドラマ版最終回をあらためて見る。ゆっくりと地平線に沈む、大きくて真っ赤な夕陽は、私の原点。地平線の手前は広い原っぱで、小屋の中でロバが石臼の周りをゴロゴロとまわっていた。

8月22日(日)
マルエツの食料品売場も一部がセルフレジになった。まだ使う人が多くなくて列ができないし、品物を自分のバッグに移しつつ、精算が終わるので速い。楽。でも我が世代の人達が置き去りにされないかと心配です。

8月21日(土)
京急で横浜駅に着き、改札口横のエレベーターで8階まで上がれば朝日カルチャーの教室だから、人混みには触れない。感染者数が驚異的に増えているからか駅構内も人が少ない。でも・・手洗いとマスクと祈りのみ。

8月20日(金)
富山妙子さんが18日に亡くなられた。享年99歳。初めてお会いしたのは多分1967年頃。池袋近くの富山家での多士済々の飲み会に武谷先生に連れて行かれたのだった。沢山の思い出がある。絵を版画を、出してみよう。

8月19日(木)
今年のピティナ•ピアノコンペティションは聴衆賞もオンラインで、と知りながら聴くのを忘れていて、夜遅くMに教えてもらう。特級グランプリは野村友里愛、15歳!チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番。YouTubeで。

8月18日(水)
書店で見た雑誌にマリリン・モンローが公園で James Joyce 『Ulysses』を読んでいる写真があり、つい買ってしまった。でも雑誌としては、この写真の撮影年すらなく、過去に出した数冊の特集の繫ぎ合わせ。失望。

8月17日(火)
アフガニスタンから米軍が「米国の利益」から撤退を決め、アフガン政権は崩壊し反政府勢力のタリバンが勝利宣言。武装集団タリバンも元々は民衆の組織のはずで宣言通り「国の安全と幸福」を実現してみせてほしい。

8月16日(月)
よくみるのは道に迷う夢。昨夜もどうしても家に帰れなかった。一人寂しく歩いてはいない。周りには大勢の人がいて一緒に行きましょうと言う。でも私は歩き遅れては、なぜかいつも草の上でここはどこ?と戸惑う。

8月15日(日)
日本中で大雨警報が出て土砂崩れもあり、避難指示が飛びかっている。東京は小雨に近いものの朝から途切れなく、夜まで薄暗さに包まれていた。スマホでFM を聴いたり大谷翔平の39号ホームランを見ていた一日。

8月14日(土)
半年か1年か、電子レンジが不調で使わず、それでもよかったのだけれど、買い替える気になった。少し回復したらしい。温めるだけのもあります、お料理はしますか? と店で聞かれ、しますと答えた。私、する?

8月13日(金)
この15日にだけ過去の戦争を思うわけではない。冊子『市民の意見』の表紙が常に無言館所蔵の作品なので毎月、思いを馳せる。今月は片桐彰。絵にも詩にも才能豊かな、弟妹に優しい兄だったという。21歳で戦死。

8月12日(木)
洗濯機など一斉に不具合になった家電の購入にK's デンキに。ネットで見ていたのだけれど、結局、店へ。それがよかった。勧められる実物を見て、説明を受け、2日後には全部届けてもらうことに。私はアナログ人間。

8月11日(水)
猛暑に経口飲料水のアクエイリアスが人気とか。その名前に私の思いはLAで観たミュージカル『Hair』のあの美しい「Aquarius」に。”This is the dawning of the age of Aquarius • • When you are lonely, let it shine on • •”

8月10日(火)
昨日の強風で直島の「南瓜」が海に飛ばされて壊れてしまった。草間彌生の作品の中でもシンボル的なオブジェだから、きっと修復されて、またあの桟橋に置かれるだろう。3回、行ったのかしら。高松と岡山の双方から。

8月9日(月)
昨日オリンピックが終わり、今日は休日だけれど全てが後手ごてでカレンダーでは11日が休日マーク。台風が二つきていて千葉の被害が大きい。東京は風が強く、外出は延ばしたものの明日は猛暑とか。地球が壊れる。

8月8日(日)
この1年、生活のある部分への意識がスポッと抜けていた。例えば突然気づいたのは缶詰の賞味期限。買った時は21年なんてずっと先、と思ったはず。鯖、帆立、ホールトマト• • •。しばらく期限切れと闘わなくては。

8月7日(土)
核兵器禁止条約に日本が参加しない理由を知りたいと、高校生や大学生が自ら勉強してくれるのは頼もしい。食事が満足にできない子供が沢山いるというのに軍備に膨大な予算を注いでいる政治についてもね。

8月6日(金)
ジョージア語で提出してあった訳や練習問題が戻ってきた。直しも沢山あるのにスレセリ先生は必ず「ザリアン カルギ」と書いてくださる。訳の課題として新たな物語4ページも届き、嬉しい。授業は9月末まで休み。

8月5日(木)
勝どきのマックがインターネットに通じなくなり、WiFiが問題らしく、またMに電話で指南してもらう。パスワードを入れたり、さまざまなことをトライして1時間後、本体のライトが全部点きパパッとメールが動いた!!

8月4日(水)
コロナの感染拡大、緊急事態宣言下の期日延長、日中の気温34度という中で、どうなるの、東京。そして全国の都都浦々。私は大門のホームの自販機でぎんぎんに冷えている紅茶花伝のロイヤルミルクティーを買う。

8月3日(火)
初めて参加した「くすのき」の集まりで、ビンゴで1番になると後は手持ち無沙汰だと分かった。番号札となる可愛い折り紙細工はコマになっていて卓上でくるくる回る。景品と引き換えたけれど貰ってくればよかった。

8月2日(月)
TVでオリンピック競技を見て感じるのは選手達の真剣さと競技会場の整い方。そこに到るために重ねられた気持ちや時間を、例えばJOCや東京都は国民に伝えようとしただろうか。大切なものがこぼれ落ちている。

8月1日(日)
毎年、忘年会や新年会をやっています。いつこの世からいなくなるか、分からない。決めておけば、とりあえず、その日には会えるわけです。若いうちは関心がないかもしれません。どうせまた会う。そうはいかないんですよ、実は。(養老孟司『さかさま人間学』から引用)