98字日記ー2019年11月

11月30日(土)
とつぜん真冬のように寒く、曇りがちだった空がとつぜん真っ青に広がり、心身ともに調整できないまま、ふらふらと歩いている。夕刻にはイルミネーションがあちこちで輝き、その健気さに勇気づけられて、また歩く。

11月29日(金)
とても若い頃、大人になって時間と余裕ができたらしようと思っていたことが色々あった。人生のどの段階で実現すればよかったのか。今となっては、ちっともしたいと思わない。朝食でピンクシャンパンを飲むとか。

11月28日(木)
眠いのに寝るのがもったいない。さっきTVで検索を競うクイズをしていた。調べるテクニックがあれば知識はいらない、ということだけれど、キーワードを考える基礎知識は必要。ゲームとしてもあまり面白くなかった。

11月27日(水)
もう少し時間が欲しい日々。いつの間にか日付が変わり、明日の講座分の添削終了は明日の午前中になる。もっと直しが少ないといいのだけれど、と思うのは私の勝手で、レベルを上げたいと思う人は多くない気がする。

11月26日(火)
今週は4クラス全部あって、今日の家での3人を合わせれば4日間で40人前後の添削があるというのに、出来ると思っている? 出来る。もう12人は終わったし、嬉しいことに(内緒)途中までしか訳せなかった人もいるし。

11月25日(月)
豊田市美術館は二度目。今回初めて庭の池の反対側から建物全体を眺めた。谷口吉生設計の清冽な線が綺麗だった。池の中では小さな低い噴水が円を描き、黄葉した落羽松、茶室の外の真っ赤なモミジが華麗だった。

11月24日(日)
ローマ教皇(日本語の敬称が法王から変更に)が来日し長崎でメッセージを述べた。TV中継では同時通訳とポイント字幕の両方。字幕があれば生の声を聴かせてほしい。迎える人達が一斉にスマホをかざすのもいやだった。

11月23日(土・祝)
『岡崎乾二郎 視覚のカイソウ』展の初日レセプションに愛知県豊田市美術館へ。懐かしい作品も刺激的な創作も。布作品は初めて見て抜きん出た色感覚を知る。きょんみさん、のり子さんの熱さに押されて乗り切った1日。

11月22日(金)
澄んで美しいものを見た。紙にパンチで穴を開けると丸い紙が抜ける。直径6ミリ。それが大きな板に線とともに新たな存在となっている。松屋銀座ギャラリーで三澤遥のデザイン『POSIT』展。私は今日から81歳。

11月21日(木)
本日の美味しかったもののメモ。朝、納豆とブルーチーズとコーヒー。午後、ほうじ茶ケーキ(新宿クラスでロイヤルホスト)。夜、中華サラダと牛肉の黒胡椒焼きとマントウ(Mと銀座アスター)。さらに夜、日本茶。

11月20日(水)
日本橋駅の工事がひどくて、高島屋にはどう行ったらいいのか道標もわるい。例年のブリッグスのサンタクロースをチャリティーとして求めながら、もうしばらくは来たくないと思う。最近は買い物をすることもない。

11月19日(火)
今朝のクラシック倶楽部は「無言館」から。数枚の絵とオリヴィエ・メシアン「世の終わりのための四重奏曲(Quatuor pour la Fin du Temps)」。1940年、ドイツの収容所内での作曲。深く鳴る。「時の・・」と訳したい。

11月18日(月)
添削の他はジョージア語の練習問題を1課分するだけで1日が終わった。キッチンの掃除だけ念入りにして、グタグタするって気持ちいいなあと思う。小川洋子の短編『約束された移動』が「らしさ」に溢れていて胸踊った。

11月17日(日)
三鷹へMと。前に一度行った蕎麦屋「多加はし」は目指す「珈琲や」と隣り合わせていた。両方とも美味しさ、店と店の人たちの感じ良さを知っている客で満ちていた。幼い子や赤ちゃんもいて、静かなのが最高。

11月16日(土)
船堀映画祭18本のうちみていないのは『ジョーズ』だけ。で、もう一度みたかった『アメリ』。フランス語の語りが心地よい。パリって、生きていることがどうしてこんなに似合うのか。ジャン=ピエール・ジュネ監督。

11月15日(金)
デンマークの俳優が語っていた。デンマークでは外国映画やテレビで吹替えとか字幕を使うことがほとんどない。日本語のアニメもそのまま流される。だから子どもも5歳くらいで少なくとも英語は聞き取れる。なるほど。

11月14日(木)
一小の体育館や教室の電気が連夜、遅くまで煌々と点いている。今日から児童作品の展示と舞台、両方の発表が始まり、学校だよりで準備の苦労を察する。スリッパを履いて二階に上るのが大変で最近は行かないけれど。

11月13日(水)
今年の山形国際ドキュメンタリー映画祭が終り、30周年だったという。ごく初期、幾度か泊まりがけで行った。映画のない時間は、市内中のあちこちの居酒屋や食堂などで初対面同士が感想を言い合い、情報を交換した。

11月12日(火)
この10日ほどの隙間の時間にみた映画は、玉三郎と鼓童の緊迫の技をみた『幽玄』、デンマーク語翻訳家メッテ・ホルムの記録『ドリーミング村上春樹』、駅ピアノから生まれた劇映画『パリに見出されたピアニスト』。

11月11日(月)
♯KuToo が今年の流行語にノミネートされている。change.org に石川優実さんが挙げた時、もちろんすぐに賛同した。女性にヒール・パンプスを強制する職場が数多くあるとは思ってもいなかった自分が恥ずかしかった。

11月10日(日)
乗り物の路線によって、優先席も含めて席を譲る雰囲気の濃淡がある。都営メトロやバスは乗客が概ね温かい。JRや私営メトロ・バスは知らん顔が多い。京急は駅間距離が長いのに快く席を立つ人が多くていい感じ。

11月9日(土)
汐留駅のだだっ広さが苦手。シティセンターだけの時はレストランにもよく行ったのに何年も忘れている。原因はパナソニック美術館を気に入っていることにある。行くたびに迷い、遠さを実感して逆に足が遠のく。

11月8日(金)
「にわかファン」が今年の流行語にノミネート中のラグビーW杯。終わった今頃知り、私が感動しているのは、どこの国の国歌も観客とマスコットが大声で一緒に歌ったこと。YouTube で見ると確かに。なんて素敵な!

11月7日(木)
スウェーデン・イェーテボリ博物館に入っている「ボーヒュース」編みのセーターをTVで見る。綺麗!ヨークに細かに細かにグラデーションで模様が連なっている。こういう懐かしい手作業が身の周りに少なくなった。

11月6日(水)
ダニロ・キシュ『死者の百科事典』を読む。おもしろかった! このユーゴスラビアの作家というより山崎佳代子訳を読みたくて求めた短篇集。10篇それぞれの文体が異なる。訳者の『ベオグラード日誌』ももう一度読もう。

11月5日(火)
ドキュメンタリー『ジョージア、ワインが生まれたところ』をみる。クヴェヴリ(甕)こそ紀元前6千年に遡る最古のワイン製法だと納得する。ジョージア語でアダミアニ(人間)と幾度も聞き取れた。撮影は全てiPhone。

11月4日(月・祝日)
20年度から大学受験に使われるはずだった英語民間試験が延期。きっかけが情けなくも文科大臣の「身の丈」という言葉だった。身の丈に合わせて生きろなんて、他人に言うべきではない。みんな、大きく生きようね!!

11月3日(日)
歯一本といえども「オペ」をして抗生物質を朝昼晩とのんでいる時、講座はできても演奏会にいく気分ではない。土曜クラスでチケットを貰ってくれる人があってよかった。家でネギとポテトのクリームスープをつくる。

11月2日(土)
あまり考えずに、歯科医師にただお任せという気持ちで受けているインプラント手術。こんなに大変だと思っていなかった。あと何年使えるか分からないのに、と思い少し後悔するが、かといって入れ歯にはなりたくない。

11月1日(金)
乙川優三郎を読んでいると何故か知らなかった漢字に出会うことが多い。『R.S. ヴィラセニョール』では「擦った揉んだ」。たいていの人は知っているのかも知れないけれど。